美容室経営していると、キャッシュが溜まっているから上手くいってるんだな、キャッシュが減っているから上手くいってないんだな、と考えると思います。

キャッシュが溜まっている場合は問題ないかもしれませんが、今後美容室を運営するにあたり自分の会社の数字がどうなっているか把握することはとても大事です。

【貸借対照表】というのはご存知でしょうか?

貸借対照表と損益計算書があると思いますが、自社の財務を正確に把握するためには貸借対照表を見る必要があります。

毎月顧問税理士が出してくれる【貸借対照表】と【損益計算書】を理解することにより、会社の財務のことがわかります。でも数字がたくさんあってどの部分を見たらいいかわからないですよね。

今回の記事で誰でも簡単に貸借対照表と損益決算書を見れるようになり、会社の財務状況をある程度知ることができるようになります。

まずは貸借対照表を解説していきます。

個人事業主でも貸借対照表は作ってもらえます。税理士に相談してみてください。

現在の経営状況を確かめるには、この3つを見ておけば経営の現状を把握することができます。

①先月末までの現金や預金額の合計

②銀行融資や役員や個人から借入の残債

③事業のために使えるお金

この3つの数字を、弊社(RELIVE合同会社)の貸借対照表(2023.12月分)を一部公開して紐解いていきます。

数字と文字の羅列でよくわからないですよね。

6列項目があり、1番左は項目になります。

その次に数字が5行あります。左から

[前月繰越]先月末までの累計

[当月借方]取引で入ってきた数字※

[当月貸方]取引で出ていった数字※

[当月残高]=前月繰越+当月借方-当月貸方

[構成比]負債・純資産合計が100とした場合の比率

※一般的な取引の場合

になります。全部理解するのは難しいです。

しかし今回は簡単に理解する回ですので、本当に基礎的な数字だけ紹介します。

①先月末までの現金や預金額の合計

1ページ目、赤丸の【現金・預金合計】になります。

自分の会社が今現在どのくらいの現金や預金額を持っているのか知りたいですよね。いわゆる【キャッシュ】というものです。このキャッシュが少ないと、一般的には会社として資金繰りが厳しいということになります。

一方で利益が出ていても現金・預金合計が少ない場合もあります。それは事業に先行投資をしている場合です。売上が上がり運転資金も場合によっては設備資金も投資しなければならない場合は現金を使うことになります。

又は利益以上に返済金額が大きくキャッシュが少なくなっている場合もあります。この場合は売上を上げ利益をもっと多く確保しなければキャッシュアウトしてしまいます。

キャッシュがないと事業に投資することもできないですし、人を雇ったりすることもできません。現金・預金合計の部分はしっかり意識して増やしていけるよう、又は投資しすぎて無くなりすぎないよう注意をするために額がどれくらいあるのかは把握しましょう。

②銀行融資や役員や個人から借入の残債

2ページ目、赤丸の【長期借入金】になります。

1年を超えて設定された借入金のことを言います。1年以内に返済する借入金は【短期借入金】になります。

融資していただいた、貸していただいたお金なので返さないといけません。返済計画表を確認しながら毎月の返済額を見て、毎月の返済額を計算して数字を意識しましょう。

この借入金の数字が年商よりも高いとかなり危険です。少なければ少ないほど健全な経営だと思いますが、借入をしていない=会社としての成長意欲があまりないとも取れます。もちろん借入をせずに自社のお金だけで投資してどんどん会社が成長すればいいのですが、現実的にそれができる会社はあまりありません。

銀行融資は借りれる時に借り、借りたい時(うまくいっていなくお金が必要な時)は銀行は貸してくれません。借入があるということは会社に信用があるということです。

ずっと1店舗経営でいいから早く設備資金を返済して安心したい!と思う人もいるかもしれません。そういう方もある程度返済したら運転資金としてまた融資を受けるべきだと思います。完全に返し終わり、また融資してほしい!と思っても1から資料を作り直さなければいけないのです。運転資金を持っていても使わず、何かあったときに使えばいいのです。利息はかかりますが、手元にキャッシュがあるのとないのとでは経営面での安心感が違います。

③事業のために使えるお金はいくらか

3ページ目、赤丸の【利益余剰金合計】になります。

会社が生み出した利益です。会社内部に蓄積されたお金なので、事業拡大のことに使うことのできるお金です。ここの数字が増えると自己資本額も増えるので、銀行から見ても安全性の高い、利益が残っている会社だと認識されます。そうなると今後店舗展開や運転資金などで融資してもらえる可能性が増えます。

ここの部分がマイナスになっていると赤字経営ということです。赤字経営だと銀行などお金を貸してくれません。ここの数字を赤字にならないようにするために常に把握してどのくらい利益が残っているか確認しなければいけません。

事業のために使えるお金なので

・新しく広告を打つ

・新店舗を作る

・人を雇用する

・設備に投資する

など様々な可能性が広がります。

貸借対照表は今回紹介した3種類の数字だけではないのですが、この数字を理解することにより自分の会社のことが把握できます。数字が少ないなと思ったら売上を増やすか経費を削減することによりいい結果につながります。

次に損益計算書を解説していきます。

損益計算書は毎月の経営成績の内訳がわかります。

損益計算書も税理士が作ってくれます。貸借対照表のことを【バランスシート】と言ったり【BS】と言ったりします。今回の損益計算書は【PL】といいます。そのまま【ピーエル】と言うことが多いです。Profit&Loss Statement という英文ですが、略してPLです。

BSもPLも毎月見て数字を把握してすることが重要ですが、どちらかというと直近の成績がわかるPLを重点的に見た方が理解しやすいです。

今回は大事な部分をわかりやすく解説していきます。

①今期の売上から見る材料費率

②各経費の月の数字

③月の利益と今期の利益

この3つの数字を、弊社(RELIVE合同会社)の損益計算書(2023.12月分)を公開して紐解いていきます。

①今期の売上から見る材料費率

1ページ目の右上の赤線部分、上から[今期の売上高] [今期の売上原価] [今期の原価率]となります。売り上げが100%に対して原価はどのくらいかかっているかを見ていく数字です。

売上合計ー原価=【粗利】です。

オープン当初の売上原価はとても高くなります。理由は最初に多く発注してお客様を迎えるからです。オープン当初は気にしなくていいのですが、6ヶ月くらいで消費発注の繰り返しでアベレージが取れてくると思うので、そこで原価率を見ていきます。

弊社は3.44%なのでそんなに多くはないと思います。目標は3%ですが、店販商品もあるので少し在庫を準備してあります。ここは会社の経営戦略で変わってくると思います。高すぎると原価率が高い=利益を圧迫するので経営難になります。しかし原価率が高いということはスタッフにたくさん使っていいよという戦略なのかもしれません。スタッフは材料を制限されることを嫌う傾向にあります。

以前運営していたお店ではトナー(シャンプー台でカラーを塗る方法)を禁止にしていました。理由はトナーしてもすぐ流して色が入ってなく勿体無い場合やカラー剤を作りすぎだ、と僕が感じていたからです。しかし禁止にしてもやる人はやってしまいます。注意するこちらもストレスになるし、注意される方も「注意されるんじゃないか」と思いながらやっていたと思います。ケチだとか材料費にうるさいと思われないような絶対的なルールが必要でした。

原価率を下げすぎても不満が出るし、高すぎても経営を圧迫する。覚えておきましょう。

②各経費の月の数字

1ページ〜2ページ目の青線が引かれている部分が各経費になります。

ここの数字も毎月確認して平均値を取って把握しておいた方がいいと思います。

「今月多いな」と思ったら税理士さんに内訳を聞いてみてください。スタッフが増えたり減ったりすれば[給料手当]と[福利費用]が増減するし、売り上げが変われば[ロイヤリティ]も増減するし、リスティングに多く費用をかけたら[広告宣伝費]が増えます。

家賃の比率は売り上げの10%以内に収まるようにしましょう。例えば1人で美容室を運営していて80万円の売上でしたら、8万円以内に家賃を収めた方がいいということです。1000万円の売上なら100万円の家賃にしても[一般的には]問題ないということです。

弊社はRELIVE合同会社で、フランチャイズ本部としてRELIVE株式会社もあります。RELIVE株式会社にロイヤリティーを毎月支払っているので数字が記載されています。

③月の利益と今期の利益

3ページ目の黄色線の部分が月の利益、今期の利益になります。

粗利ー経費=利益です。ここの利益部分は全部がまるまる利益なことはないので注意してください。

融資の返済費用は経費にできないので、ここの利益から引くことになります。更に利益から税金が計算されるので、残るお金は更に減ります。

個人事業主の場合は役員報酬がないので利益が全部ここに載ります。個人事業として残すお金も考えてお金を取らないといけないのです。例えば50万円の利益でも融資で毎月15万引かれると結局35万円の利益にしかなりません。更に税金のことや事業投資の事を考えると20万円が生活費と考えてもいいかもしれません。経費を削るか、売上を上げるか、色々な戦略を考えなければいけません。

法人の場合、役員報酬を取っていて利益が出ているビジネスモデルを作らないと会社として経営していけません。役員報酬を多く取り、会社は±トントンだとすると融資が通りにくい場合もあるので役員報酬の金額と法人の利益のバランスはとても大事です。

以上が貸借対照表と損益計算書の押さえておきたい数字です。

会社の財務状況を把握するために参考にしてください。