以前の記事で今回は広告費の考え方や雇用、もしくは業務委託で囲うスタッフに対しての給料または報酬の決め方や考え方をお伝えします。
全体の売上=材料(5%)+家賃(10%)+給与(50%)+広告宣伝費(10%)+光熱費(2%)+その他(3%)+利益(20%)
以前の記事で理想の数字を書きました。前提としてこれが絶対ではないですが、参考程度に見ていただければと思います。経営によっては上記の数字にブレが出ます。
それぞれの数字で言えることなのですが、どこかの数字を削ればどこかの数字が増えます。材料が10%になれば利益が15%になりますし、家賃が5%になれば利益は25%になります。利益を増やしたければスタッフの給与も減らすと利益が増えますが、満足度が減り求人をかけても人員が来ない可能性もあります。逆にスタッフに還元しすぎると利益が減り経営を圧迫してしまいます。
経営を続けていくにはスタッフに満足してもらい、会社も利益を出し続け継続していかなければならないのです。僕の感覚からすると50%を超える給与を支払うと利益が少なくなり、オーナーが現場に出て売り上げを上げないと厳しいビジネスモデルかなと思っています。
・給与の決め方はどれくらい集客できるか、売上に連動する
→1人頭平均いくら売り上げを上げれて、それに対して給与はいくらにするか、という設計をしなければいけません。売り上げが決まればどれくらい集客しないといけないかが計算できます。1人集客するにあたりかけていい広告費も計算しなければいけません。
1人サロンの場合、数字目標の決め方
→例えば家賃10万円+広告宣伝費10万円+光熱費2万円+その他3万円+自分に対する最低限の生活費が25万円だった場合=50万円が損益分岐点になります。50万円を下回ると、最低限の生活費が25万円だった場合に生活水準が下回る可能性があります。50万円売り上げを上げるには、平均単価が8,000円だった場合、62.5人のお客様に来ていただかないといけません。
初月、ご新規様をお迎えするにあたり、1人につき広告費が3000円かかる場合×62,5人なので、187,500円の広告費を投入しないといけないことになります。ということは、500,000円+187,500円=687,500円用意できないといけません。再来のお客様が増えていけば広告費はかからなくなりますが、初期段階では投入しないとお客様に気づいてもらえません。
更に借入をしている場合はもう少し売り上げを上げなければいけません。
正社員スタイリストの場合、歩合率の決め方
→例えば最低保証25万円支給するとします。歩合率は30%です。80万円売り上げた場合、歩合にすると24万円ですが最低保証があるので25万円支給です。それに社会保険料約20%プラスした場合、経営者側はスタイリストに対して25万円、社会保険料で別途5万円負担=30万円になります。この場合、1人のスタイリストに対して80万円の売り上げを上げる環境を整えられれば給与比率は37.5%になります。
50万円売上=歩合15万円<最低保証が25万円、社会保険料が5万円で30万円の負担です。給与比率が60%です。
75万円売上=歩合22.5万円<最低保証が25万円、社会保険料が5万円で30万円の負担です。給与比率が40%です。
100万円売上=歩合が30万円、社会保険料が6万円で36万円の負担です。給与比率は36%です。
120万円売上=歩合が36万円、社会保険料が7.2万円で43.2万円の負担です。給与比率は36%です。
150万円売上=歩合が45万円、社会保険料が9万円で54万円の負担です。給与比率は36%です。
はじめに書いた比率計算に当てはめると、14%低くなっているので、利益が+14%で34%になります。
では歩合率を上げてみます。40%の場合
50万円売上=歩合20万円<最低保証が25万円、社会保険料が5万円で30万円の負担です。給与比率が60%です。
75万円売上=歩合が30万円、社会保険料が6万円で36万円の負担です。給与比率が48%です。
100万円売上=歩合が40万円、社会保険料が8万円で48万円の負担です。給与比率は48%です。
120万円売上=歩合が48万円、社会保険料が9.6万円で57.6万円の負担です。給与比率は48%です。
150万円売上=歩合が60万円、社会保険料が12万円で72万円の負担です。給与比率は48%です。
はじめに書いた比率計算に当てはめると、2%低くなっているので、利益が+2%で22%になります。
更に歩合率を上げてみます。50%の場合
50万円売上=歩合25万円=最低保証が25万円、社会保険料が5万円で30万円の負担です。給与比率が60%です。
75万円売上=歩合が37.5万円、社会保険料が7.5万円で45万円の負担です。給与比率が60%です。
100万円売上=歩合が50万円、社会保険料が10万円で60万円の負担です。給与比率は60%です。
120万円売上=歩合が60万円、社会保険料が12万円で72万円の負担です。給与比率は60%です。
150万円売上=歩合が75万円、社会保険料が15万円で90万円の負担です。給与比率は60%です。
はじめに書いた比率計算に当てはめると、10%高くなっているので、利益が-10%で10%になります。
売上が少ないと給与比率が上がりますが、歩合率を超えると給与比率は一律になります。
給与比率が高くなると利益が少なくなり、低くなると利益が増えます。しかしスタッフの満足度はもちろん比率が高い方がいいですよね。
正社員で50%を超える歩合率だと雇用の場合はかなり経営が苦しくなります。成り立たせるにはオーナーが体を入れないと厳しいです。40%でもなかなか高水準だと思います。業務委託で50%と高い給与体系は社会保険料がかからないので経営はできますが、スタッフの管理は難しくなります。
まず設定した方がいい数字はスタッフの給料です。次に売上のアベレージを決め、その中から給与比率を決めましょう。正社員なのか業務委託なのか決めるのも大事です。次に席数を決め、売上のアベレージを決めます。席数×アベレージ=店舗売上になります。
店舗売上に対して材料費(5%)+家賃(10%)+給与(?%)+広告宣伝費(?%)+光熱費(2%)+その他(3%)+利益(?%)
ここまできたら数字を当てはめるだけです。給与を40%とすると、オープン当初は利益を残すより広告宣伝に使った方がいいので40%広告宣伝費として使った方がいいと思います。
もちろん美容室の規模にもよりますが、初期費用はできるだけ抑え、今後の経営に向けて広告宣伝費を使いリターンを増やす。美容室経営の鉄板です。美容室はオープン景気という言葉がないためリターンを増やさないと長く経営することはできません。将来的に利益を得れるために初期は広告費をかけ集客しましょう。